2024年05月28日 (火) 24歳の自衛官、盗撮事件で逮捕・起訴、処分は懲戒免職
静岡県御殿場市の陸上自衛隊・駒門駐屯地に所属する24歳の3等陸曹が、複数の盗撮や暴行事件を起こし、2024年11月15日付で懲戒免職処分となりました。
駒門駐屯地によると、この3等陸曹は、2024年5月28日に神奈川県横浜市内を走行中のバス内で、女性のスカート内をスマートフォンで盗撮し、その画像をSNSで第三者に提供していました。さらに、6月8日には東京都品川区の駅構内で別の女性を盗撮しようとし、近くにいた別の人物をバッグで殴る暴行も加えたとされています。
これらの行為により、7月には逮捕・再逮捕され、その後起訴されています。この一連の不祥事を受け、陸上自衛隊は隊員を厳正に処分し、懲戒免職としました。
今回の事件については、言葉を失うばかりです。自衛隊員という国の安全を守る立場の人間が、このような卑劣な行為に及んだという事実は、信じたくない現実です。しかも、盗撮行為にとどまらず、SNSでその画像を第三者に拡散し、さらには駅構内で暴行まで加えていたという点は、到底許されるものではありません。
懲戒免職という処分は、公務員や職務に従事する者にとって、最も重い処分です。これは、職務上の重大な不正行為や社会的信頼を大きく損なう行為に対して行われます。この処分によって本人は即日退職となり、再就職の際にも大きな不利が生じるばかりか、退職金も支給されません。
公務員が受けることができる懲戒処分は、以下の4段階に分類されています(軽いものから順に並べています)。
- 1.戒告
公務員の行為について「注意」を促す処分。特に給与への影響はなく、比較的軽い処分です。 - 2.減給
一定期間、給与の一部を減額する処分。例えば、1ヶ月間の給与を10%減らすなどの具体的な制裁があります。 - 3.停職
一定期間、公務を停止され、給与が支給されません。停職期間が長いほど、職務への復帰は難しくなり、退職を余儀なくされるケースもあります。 - 4.懲戒免職
即日解雇され、公務員としての職を失います。この処分を受けると退職金も支給されず、再就職の際にも非常に大きな障害となります。また、免職の理由が社会的に悪質と判断されれば、刑事事件としても追及される可能性があります。
特に、盗撮行為に加えてSNSで拡散するという行為は、その卑劣さが際立ちます。他者のプライバシーを侵害しただけでなく、その被害をさらなる苦痛へと追いやる行動です。さらに、盗撮が発覚しないよう暴行にまで及んだという事実は、自己保身のために人を傷つける行為であり、まったくもって許されるものではありません。
地方公務員法(第29条)および国家公務員法(第82条)
懲戒処分の基準は、地方公務員法と国家公務員法に明記されています。これらの法律によると、以下のような行為が懲戒処分の対象となります。
- ・職務義務違反: 職務を遂行する上での重大な義務を怠った場合(例:故意の業務放棄、不正行為)
- ・信用失墜行為: 公務員としての信用を著しく損なう行為を行った場合
- ・服務規律違反: 服務規律に反する行動(例:汚職、違法行為、職務上知り得た情報の漏洩)
- ・その他の法令違反: 盗撮や暴行など、一般の刑法に違反する行為
懲戒免職の具体的な適用例
懲戒免職が適用されるのは、以下のようなケースです。
- ・重大な犯罪行為: 盗撮、窃盗、暴行、傷害、飲酒運転など、刑法に違反する行為
- ・公務員の立場を悪用した不正: 賄賂の受け取り、権力を利用したハラスメント
- ・公私の境界を超えた不適切な行動: 職務外での行為でも、社会的信用を失墜させる行動(例:SNSでの不適切投稿、機密情報の漏洩)
今回の事件との関連
今回の事件に関しては、以下の違反行為が懲戒免職の理由となったと思われます。
- ・信用失墜行為: 自衛隊員としての立場で盗撮行為を行い、それをSNSで拡散する行為は、社会の信頼を著しく損ないます。
- ・服務規律違反: 公共の場での盗撮や暴行は、法令違反に該当し、刑法上の責任も問われる行為です。
- ・刑法違反: 盗撮(迷惑防止条例違反)や暴行は刑事事件として処罰の対象となり、これ自体が懲戒免職の要因となります。
本来、自衛隊員は国民からの信頼を基に職務を遂行すべき存在です。今回の事件はその信頼を大きく裏切るものであり、同じ職場で懸命に職務を全うしている他の隊員たちにとっても、多大な迷惑をかける結果となりました。今後、こうした不祥事が二度と起こらないよう、より一層の教育と監督が必要だと強く感じます。