2024年05月01日 (水) 院長が1年間にわたり従業員トイレを盗撮 示談金提示も被害者の怒り収まらず
熊本市中央区の歯科医院で院長を務めていた40代の男性が、院内の従業員用トイレにカメラを設置し盗撮を行っていたとして、今年10月に性的姿態等撮影の疑いで書類送検されていたことが明らかになりました。
男性は昨年5月から今年5月までの約1年間、USBメモリー型カメラをトイレに設置し、女性従業員の様子を撮影していたとされています。今年5月末、従業員がトイレ内でカメラを発見し、警察に被害届を提出。男性は当初、盗撮の事実を否定していましたが、その後、従業員向けの説明会で盗撮を認めました。
男性は「運営の継続が困難」として歯科医院の廃業を決定し、当時勤務していた13人の従業員に整理解雇を通知。その際、従業員に対して謝罪文を提出しました。
被害者の声
被害を受けた元従業員の一人は、「1年以上も一緒に働いていた院長が、自分たちの恥ずかしい部分を盗撮していたなんて信じられない」と憤りを語っています。
示談交渉と賠償問題
今年6月、元院長は解雇した従業員に対し、「精神的苦痛を与えた」として1人あたり30万円の示談金を提示しました。しかし、一部の元従業員は「盗撮行為によって職を失う結果となった損害も賠償されるべきだ」と主張し、1人あたり200万円の賠償を求めています。元院長がこれに応じなかったため、元従業員たちは熊本地方裁判所に労働審判を申し立てることを検討しています。
その後の医院の運営
元院長が経営していた歯科医院は今年7月、別の医療法人によって事業を引き継がれ、院名を変更しました。一方で、元院長は現在も歯科医師として勤務しているとされています。
取材に対し、元院長は「弁護士を通さないとコメントできない」と述べるにとどまりました。
この事件について考えると、被害に遭った従業員たちの精神的ショックは計り知れないものがあります。一緒に働き、信頼関係を築いていたはずの院長が、裏では長期間にわたって盗撮行為を繰り返していたという事実は、単なる裏切り以上の傷を与えるでしょう。特に医療機関という環境は、患者や従業員にとって信頼が基盤となるべき場所です。その中心的存在である院長がこのような行為に及んだことは、被害者の心を深く傷つけるものです。
さらに、被害に遭った従業員たちは単にプライバシーを侵害された以上の被害を受けています。事件が発覚した後、院長は盗撮の事実を認めたものの、「運営の継続が困難」という理由で医院を廃業し、13人もの従業員を解雇しました。これは、彼らが日々の生活を支える職を失うという二重の打撃を受けたことを意味します。「仲間」であったはずの院長から、このような形で裏切られ、さらに生活の基盤まで奪われた従業員たちの怒りや悲しみは、想像を絶するものがあります。
一方で、院長は「多大な精神的苦痛を与えた」として、1人あたり30万円の示談金を提示したものの、一部の従業員たちはそれを受け入れず、200万円の損害賠償を求めています。この金額の差は、単に金銭的な問題ではなく、院長の行為に対する責任の取り方が不十分だと感じていることを示しています。解雇された従業員たちは、精神的被害だけでなく、職を失ったことで受けた損害をも補償されるべきだと考えるのは当然です。
さらに疑問を感じるのは、院長が書類送検されながらも、現在も歯科医師として勤務しているという事実です。盗撮という卑劣な行為に及び、従業員たちの信頼を裏切ったにもかかわらず、歯科医師の資格を失うことなく働き続けられる現状には疑問を抱かざるを得ません。このような行為をした人が医療従事者として患者に接することが許されるべきなのか、社会的に議論が必要でしょう。
この事件は、職場の安全と信頼を守る重要性、そして犯罪行為を行った者が適切な責任を取るべきだという教訓を示しています。また、被害者の権利を守るため、法的措置がどのように進められるべきか、社会全体で考える必要があります。